大別すると3タイプ 

人類が有史以来、苦しんできた「痔(じ)」。前回でも話題にした通り、歴史上の人物にも、おしりを痛めた人は少なくありませんが、彼らを悩ませた痔にもいろいろな種類があります。

大別すると痔核、裂肛、痔痩(じろう)の三タイプで、それぞれ「いぼ痔」「切れ痔」「あな痔」と呼ばれています。

痔主の60~70%はいぼ痔。男女の割合はほぼ同じです。切れ痔は女性、あな痔は男性に多く見られるのが特徴です。

いぼ痔は内痔核と外痔核に分かれ、内痔核は肛門の内側にある、静脈が集まった静脈叢(そう)がうっ血してはれたもの。肛門を清潔にして温め、便通を整えていれば悪化は防げます。ただ、痔核が指で押し込まないと戻らないか、常に肛門から出ているといった状態なら、手術する必要があります。

外痔核は、肛門の外側の静脈がうっ血したもの。内痔核と違って痛みますが、治療は簡単です。肛門を清潔にしておふろで温めていれば四、五日で痛みは取れます。「そんな暇はない」という人は、麻酔をかけて切除すれば早く治ります。簡単な外来手術で入院は不要です。

切れ痔は硬い便が通過して肛門が切れてしまうのが原因です。便秘気味の女性に多く見られるのはそのためです。おしりを清潔に保ち軟こうを塗っていれば治るケースがほとんどですが、便が硬く裂孔を何度も繰り返すと切れる痛みに加え、括約筋のけいれんに、ジワッとした痛みが排便後も長時間続き、便の通りも悪い場合は、簡単な手術を行うこともあります。

ちょっと複雑なのが、あな痔。ほとんどは膿がたまって肛門の周囲が赤くはれ、痛みや熱に苦しむ肛門周囲膿瘍(のうよう)を経てあな痔になります。手術を要する場合が多いのですが、肛門機能に影響を与える後遺症はなく、短期の入院で済みます。

以上が、典型的な痔のタイプです。国民的持病「痔」。恥ずかしさや痛いのではないか と思い受診が遅れたり、受診しても「おしりの締まりが悪くなるから手術は嫌だ」と言う人もいます。が、しかし、現在では切らなくてもいい場合も多く、手術で肛門が緩くなることもまずありません。ですから必要以上に痔を怖がることはありません。

いずれにせよ、痔主の方は早めに恥ずかしがらずに肛門科を受診することをおすすめいたします。


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