赤ちゃんも痔(じ)にかかります。この乳幼児の痔に今回のテーマにつながる事実が隠されていることは、ほとんど知られていません。
男の子には痔ろう(肛門周囲膿瘍)が多いのに対し、女の子では切れ痔が多く見られます。なぜ男女でこのような差が出るのか、まだはっきり分かっていません。この女の子の切れ痔がくせ者です。切れ痔になる女の子の多くは硬い便で、その程度は「排便のたびに泣き声を上げて痛さを訴える」くらいひどいもの、つまり便秘なのです。女性と便秘の因縁からは赤ちゃんさえ逃れられないようです。
便秘の原因は食物繊維が不足しているからです。食物繊維をたくさん食べさせてあげれば、硬い便は治っていきます。海草類、きのこ類、穀物類など食物繊維が豊富な食品を、腕を振るっておいしく料理してあげてください。きっと赤ちゃんもご機嫌になりますよ。
少し大きくなると、それまできちんと毎日便通のある子供が便秘になることがあります。この便秘は食物繊維不足とともにストレスが原因に加わります。口が酸っぱくなるほどの小言や注意、親のスキンシップ不足による不安や心配、両親の不和などストレスの原因は枚挙にいとまがありません。大人にとっては別に気にならない、ささいなことでも、子供には大問題という例も多々あります。幼児の便秘は自分の気持ちや考えを他人にうまく伝えられない子供からのシグナルです。子供のストレスの原因をなくし、食事や生活のリズムに気を配る、心身両面のケアをしてあげてください。便秘がさらに進むと便失禁を起こすこともあります。便失禁は直腸に糞石(ふんせき)ができたためです。糞石は少々の浣腸(かんちょう)や下剤では出せるような代物ではありません。こうなると家庭では手に負えません。また幼児の便秘には重大な病気が隠れていることがあります。便秘が続くようなら専門医に相談しましょう。