今回から痔とスポーツの関係について話しましょう。一般的にスポーツで体を動かすことは、痔の予防にとって非常に有効です。心肺機能を高め、全身の血行を良くすることで、肛門のうっ血を防げるからです。また、運動によって腸の働きも高まるため、痔にとって最も悪影響を及ぼす便秘の解消にもつながります。「スポーツ選手に痔主(じぬし)が少ない」のは、よく知られているところです。
しかし、例外もあり”おしり”にひどく負担をかけてしまうスポーツも、少なからず存在します。重量挙げ、アメリカンフットボール、ボクシングなどがそれ。おなかやお知りに瞬間的な強い力が加わるため、肛門のうっ血を促し痔核の悪化につながる恐れがあります。また、相撲や柔道、野球のキャッチャーなど、腰を落として長時間しゃがんでいる姿勢が多いスポーツも、おしりに負担がかかるため、痔主の人にはあまりお勧めはできません。
さらに、ゴルフやテニスでも、ボールを打つ瞬間に腹筋と肛門に強い力が加わるため、内痔核(いわゆるいぼ痔)が脱出したり、血栓ができたりして、スイング後に”七転八倒する”痔主の人も少なくありません。
でも「仕事の付き合い上、どうしてもゴルフを避けられない」という人もいるはず。私のゴルフ仲間にも、そんな痔主の人がいました。スイングで脱出してしまった内痔核を、ホール終了後に、ボールをホールにねじ込んだのと同じように、パターで肛門にねじ込み、何とか最終ホールまで持ちこたえていたそうです、ところが、ある時ついに”痔限爆弾”が炸裂していまい、ほうほうの体で診察室に駆け込んできたのです。