第14話 赤ちゃんにも・・・  食物繊維の不足に注意

生後3ヵ月ぐらいの赤ちゃんをだっこして、おろおろ立っている若いお母さん。そばでは、お父さんが2歳ぐらいの女の子の手を引き、心配そうな顔。それもそのはず、カルテを見ると、患者は、だっこされた赤ちゃんです。「赤ちゃんにも痔ができる!」と言いますと、「まさか」と思われる方も多いことでしょう。しかし、生まれてすぐの乳児にも痔が見られます。お母さんが、異常を発見して、慌てて病院に駆けつける場合がほとんどです。その症状は、肛門の周りに膿を持つ「痔ろう」(肛門周囲膿瘍=のうよう)です。

赤ちゃんの痔ろうは、大人の場合と違い、すぐに手術ということはありません。何回か患部を切開し、膿を出してしばらく経過を見てみると、治る場合がほとんどです。前述の若いご夫婦のように「近くの病院で切開してもらったが心配」と専門医を訪れることも少なくないようです。乳児の痔ろうが、ほとんどが男の子にみられるのに対し、女の子にはよく切れ痔がみられます。「排便のたび、痛くて泣き出す」という女の子の切れ痔は決まって食物繊維不足による硬い便が原因です。

食物繊維は、野菜や果物に多く含まれていると思われがちですが、実は、海草類、きのこ類、穀物類に豊富に含まれています。例えば、寒天プリンとか、ひじきの煮物のように子供が食べやすく、口に合うように上手に作ってあげたらいいでしょう。あとは、おしりを清潔に保てば、食事と軟膏で治ります。痔は、小さな子供だからといって無縁ではありません。なぜ、男女でこのように違いがあるのかは、まだはっきり分かっていません。しかし、人間は、生まれた時から痔とは切っても切れない縁があることだけは確かです。


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