「痛くて、でも恥ずかしいし、でも痛いので…」と立ったまま、おしりを押さえてもじもじ話だしたM子さんは、今年入学したばかりの女子大生でした。日ごろからダイエットのためか便秘気味、3日に1回程度の便通だったそうです。今回は特にテニスクラブの合宿が重なり、一週間も便通がなく、トイレで力んだところ突然激痛が…。ともかくあまりの痛みに座るBともできず、歩くにも困難で病院に来たときもヨタヨタと必死の思いでたどり着いたそうです。さっそく診察したところ、典型的な血栓性外痔核ができていました。
痔核には外痔核と内痔核があります。肛門と直腸のつなぎ目の歯状線を境として、この外側を外痔核と呼びます。M子さんのように何の前ぶれもなく突然肛門の縁に急に血豆のような硬いしこりができたものを血栓性外痔核と呼びます。これは皮下の静脈がはれて血栓ができたものです。原因はM子さんのように排便で力んだり、重い物を持ち上げた時、ゴルフなど急におしりに力が入る場合が多いようです。しかし、血栓性外痔核は痛みのわりには治りやす、放っておいても4~5日で痛みは軽くなり、やがて消えてしまいます。その後も硬いしこり(血豆)は残りますが、入浴などで血液の流れを良くしていると自然とはれが消えてしまいます。一般的には入浴と軟膏を塗る程度で治りますが、痛みが強い場合や血栓が大きい場合には切開して血の塊を取りだした方が痛みも取れ、治りも早いようです。
泣きべそをかいた状態で来院したM子さんでしたが、帰りはニコニコ顔で帰って行きました。いずれにしても、入院の必要はなく外来通院で治ります。