今年八月に生誕百年を迎えた宮沢賢治は「雨ニモマケズ」の詩のなかで「玄米五合卜味噌卜少シノ野菜ヲ夕べ…」と書いています。
欧米型の食生活が原因で最近は食物繊維が不足気味となり、便秘の方が増えています。それが原因で痔(じ)になるケースも少なくありません。
また21世紀には、大腸がんが、胃がんを抜いてがんの死因の一位になると予想されています。現在の大腸がんの急増も、食物繊維の摂取不足が原因の一つと考えられていて、食生活の改善が求められています。
食物繊維は、従来は食の”カス”とされていたものが、栄養素にも劣らない重要なものであることがしだいに明らかになってきました。例えば、血液中のコレステロールや血糖を減らしたり、肥満防止にも役立ちます。
また、腸壁を刺激して便通を良くし、有害物質を吸着して早く体外に出してしまうので、大腸がんの予防にもなります。
よく「私、毎食サラダを食べていますから…」という人がいます。サラダだけでは食物繊維に関しては不十分なのです。もしサラダで食物繊維を十分にとりたかったら、バケツに一杯ぐらい食べなくてはなりません。食物繊維は野菜や果物ではなく、実は海藻類、キノコ類、穀物に多く含まれているのです。
日ごろの食事では、どうしても一日5~7グラムほど、不足してしまいがちです。ですから便秘の予防食としては、お米ははい芽米などを食べ、根菜類の煮物、海藻、キノコ類をたっぷり食べ、肉と魚は少々といったバランスのよい食事を心がければよいわけです。
しかし、このところの日本人は、欧米の影轡によって肉食の割合が多くなりつつあり、伝統の植物食はいささか軽んじられる傾向にあります。
従来食生活は、その民族の居住する自然環境がはぐくむ食物を組み合わせて営まれてきました。そして日本人は温暖多湿に適した水田稲作を主とし、米と野菜、豆類、魚を主要な食材として食生活を営んできたのです。
日本人はこの地で合理的な食生活を確立し、健康な生活を営み続けてきました。現在日本の食生活は、寒冷な欧風の食生活を取り入れ、体格・体形は著しく向上しましたが、一方では成人病の増加、低年齢化という事態を引き起こしています。
ですから、日本の食文化においての「おばあちゃんの知恵」「おふくろの味」などの伝統の食生活がいまこそ光ってきます。
宮沢賢治的食生活は、おなかとおしりに優しい・・・