インターネットで情報

三十五歳のサラリーマンです。数年前から、排便のたびにイボが飛び出します。昨日トイレで、いつもは手で押し込むと戻るはずのイボが戻りません。恥ずかしさを忘れ、奥さんにおしりを見てもらうと「お父さん大変、コブシ大のもの・・・」。

奥さんと一緒にイボを押し込む共同作業。実は彼は、大の病院嫌い。一大決心をして病院に行こうと思いましたが、近くに専門の肛門科がありません。

そこで思いついたのがインターネット。パソコンで肛門科を検索して、たまたま私が開設しているホームページにアクセス。「痔(じ)の健康相談のコーナーがあったので願ってもないチャンスと思い、メールした次第です。先生どうかアドバイスしてください」とのことでした。

「診察してみないと何とも言えませんが、内痔核の嵌頓(かんとん)か血栓性外痔核と思います。処置が必要ですので、近くの知り合いの病院を紹介いたします」と、電子メールで返答しました。

これは当院が行っている電子メールを利用した健康相談の一例です。メールでの便秘・痔相談と同時に、1996年7月からインターネットで健康情報を流しています。内容は、便秘の実態調査の報告、便秘に関する生活指導、指圧や気功などを組み合わせた「でるでる健康術」、痔ものがたり、ヒーリングアート展、当院企画のでるでる食品(植物繊維食品)などのほか、便秘解消のオリジナル音楽「すいすいセレナーデ」も聴くことができます。

インターネットを利用したのは、今までの情報を伝える媒体と根本的に異なり、双方向であることと、文字情報のほか画像、音声も同時に送れるからです。

パソコンで予防方法や適切な処置法が、分かりやすいイラスト、写真付きで流れればどうでしょうか。だれに気兼ねすることなく、自分で対処することも可能になるかもしれません。しかも疑問点があれば、問い合わせもできるのです。いずれ自宅での診察も可能な 時代がやってくることでしょう。また全国で多数の患者を出している病原性大腸菌「O-157」の問題では、厚生省、大学ならびに医療機関などがインターネットを利用し、対策など多くの情報を流すとともに注意を呼び掛けています。このようにインターネットは、今 後は医療の領域でもスピーディーに対処する必要がある問題に対し、双方向で開かれた媒体という利点を生かし、問題解決のために欠かせないものになるでしょう。

備考:このコラムに記載されている内容は当時のものであり、現在ホームページに掲載していないものもあります。


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