切れ痔、裂けた痔などを総称して裂肛といいます。
症状は出血と痛みです。出血量はあまり多くなく、紙に数滴ついたり、便に筋状に混じっている程度です。
裂肛になりやすい部分は肛門の後ろ側で、傷口は小さく見えても実際には深く、排便時に激痛を伴う場合もあります。裂肛は二十から三十代の若い人たちに多く見られがちです。 肛門括約筋が強く、粘膜に張りがあるので、便が硬いと肛門が切れやすいからです。
そして、裂肛を引き起こす原因の多くは便秘です。硬い便を無理やり出そうとして、校門の縁が切れたり、裂けたりするわけです。便の中に混じっている末梢化物などが肛門を傷つけるケースもあります。
排便のたびに感じるいたみが嫌で排便をさけるようになると、便がますます硬くなり、結局は、症状を悪化させるという悪循環が生じます。
ところが、こうした痛みは排便時とその後数分間だけで治まるため、放置するケースも多く、慢性化している人も少なくないようです。
ごく初期、あるいは急性の場合には、生活療法が用いられます。裂肛の最大の原因は便秘による硬い便です。そこで、便秘を解消するために、まず食生活を見直す必要がありま す。便を軟らかくするためには、食物繊維を豊富に含んだ食べ物と水分を取ることが肝心。また、入浴や座浴によって、患部を清潔に保つことも大切です。
こうした生活療法を続けながら、同時に薬を用います。便を軟らかくして排便を楽にする内服薬や、排便時の痛みを抑えるための塗り薬、肛門に注入する軟こうやゼリーなどです。
裂肛の症状が進むと、傷口が潰瘍化して肛門が狭くなり、排便時の苦痛が増します。その痛みのせいで肛門の括約筋がけいれんを起こし、いっそう痛みがひどくなります。
このような場合は、肛門拡張術という治療を行います。麻酔をした上で肛門に指を入れ、狭くなった肛門を前後左右にゆっくりと広げていきます。入院の必要はく、外来で治療できます。
しかし、裂肛はもともと便秘がちの人が多いせいか、一度治療してもまた切れてしまい、慢性化することがあります。慢性裂肛になると、患部に見はりイボや肛門ポリープが発生し、保存療法だと治りません。こうなると手術療法が必要になります。