診察方法 肛門鏡使えばはれ具合も明らか 

今回は、具体的な痔(じ)の診察方法について説明しましょう。

まず視診で肛門(こうもん)の色、形などに異常がないか調べます。次に肛門の周囲を触ってみる触診や、肛門の中に指を入れて痔の状態を確かめる指診を行います。指診は、医師が指にゴム製のサックを付け、滑りを良くするためにゼリーを塗布してから行います。切れ痔などで痛みが激しい時には、尾骨の少し植えのところに麻酔注射を打って行います。

さらに、長さ約10センチの肛門鏡を使い、肉眼で出血の場所やはれ具合を調べます。患部が奥の方にある場合には、先端にカメラの付いた管状の直腸S状結腸鏡を用います。 こうした一連の診察を行えば、ほぼ完璧に痔の状況が分かります。 一通り診察が終わると、患者さんに今後の治療方針を説明します。

例えば、内痔核(俗にいぼ痔と呼ばれている痔の一種で、排便時に鮮血が流れ出るなどの症状がある)で軽症の場合なら、坐(ざ)薬を使用し、日常生活を改善すれば通常、数週間で症状は治まります。ですから、患者さんにはこの間に何度か来院してもらい、患部を診察したり、患者さんに以前の自覚症状との比較を話してもらいます。症状や出血が治まり、はれが治まっていれば、手術の必要はありません。

ただし、内痔核はもともと静脈瘤(りゅう)という血管の病気ですから、坐薬のような外部薬だけで消滅させることはできません。

そこで、日常の生活に支障がないのであれば、生活改善によって”内痔核と仲良く付き合う”という治療を本格的にスタートさせます。一口に生活改善と行ってもストレスの度合いや睡眠時間、食事内容、便秘の有無などの違いによって、指導内容はさまざまです。


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