中年女性に多い直腸膣壁弛緩 筋肉ゆるみ”ポケット”に便が入る 

患者様の中には、「排便時に力んでも、その力がどこかににげてしまう」とか「便が出口付近で引っかかって、出てこない」などと来院される人もいます。

そうした人のほとんどが中年女性で、肛門の前方についても残便感があり、肛門前方や膣(ちつ)に指を入れるなどして押さないと排便できないといった共通の悩みを訴えられます。

これは、直腸膣壁弛緩(しかん)=レクシトール=と呼ばれる直腸ヘルニアの一種で、40~50歳代の女性に多く見られる疾患です。症状は、患者の約70%が便秘に悩んでいるほか、残便感や肛門痛、腹満、出血、腹痛などを伴うのが特徴です。

原因のほとんどは、出産時に骨盤底の筋肉や腱(けん)がゆるんでしまうこと。その影響が中年以降に出て、排便時にかかる力を受け止められなくなり、直腸と膣壁の間が袋状になって、それが膣の方へと突き出る状態になります。老化による膣周辺の筋肉のゆるみや、若い人でも便意をがまんするなど、悪い排便習慣を続けていると起こります。

その結果、便を出そうと力んでも、この袋状になった部分に便が入り込んでしまい、肛門から出なくなってしまうのです。

診断は患者様から排便の状態を詳しく聞き出すことから始まります。そして、直腸指診を行えば容易に判明できます。肛門から入れた指を前方、つまり膣側に曲げると、膣壁にポケット状の膨らみを確認できるわけです。

治療はまず、食事内容の改善で食物繊維をより多く摂取することや、排便習慣の改善を指導したり、時には便を軟らかくする緩下剤を投与するなどして経過を見ます。それでも症状が改善されない場合は、直腸と膣壁との形成術が必要となります。


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