硬化剤注入療法 痔核を縮小させ出血防ぐ

内痔(じ)核の治療は、前回紹介した保存療法が基本となりますが、痔核が進行して出血を繰り返す第・度・第・度の場合には「硬化剤注入療法」を行います。

同療法は外来で、麻酔なしで行います。患部に硬化剤(5%のフェノールアーモンドオイル)を注射し、痔核を硬化・収縮させ、出血を防ぐ方法です。

内痔核に血液を供給している動脈付近に、この硬化剤を注入します。軽い炎症を起こして動脈の内腔が狭く成り、血液の流入量が減るという原理を追うようしたもので、結果的に内痔核も小さくなっていきます。 ちなみに、腐食剤を患部に注入して、内痔核を腐らせてとる腐食剤注射法とはまったく別の療法です。 硬化剤注入法の利点は、副作用がほとんどなく、通院で治療できることにあります。ただし、その硬化は短く、1年ぐらいたつと再発してしまうケースがほとんどです。さらに、注射を繰り返すと効果が徐々に薄れてくるのをはじめ、注射によって痔核がどんどん硬くなってしまい、最終的に手術が必要となった場合いくぶん手術がむずかしくなることもあるという欠点があります。

第III度、第IV度の内痔核に注入すると、出血は止まることもありますが、脱肛の症状は改善されないものが多いのです。ですから、痔核がさらに進んで、痔核が肛門から脱出するようになると、「ゴム輪結紮(けっさつ)療法を行います。」

特殊な器具を使って痔核の根元の部分に小さな輪ゴムをかけるというもの。麻酔をせず、外来で簡単にできる治療法です。輪ゴムが徐々に痔核根部を締め付け、1~2週間後には痔核が脱落して取れます。

ただし、痛みを伴う外痔核や、大きすぎたり小さすぎたりする内痔核には適しません。

備考:ここで紹介している硬化剤注入療法はジオン注硬化療法とは全くことなるものです。ジオン注硬化療法は2005年4月から認可されている治療方法です。(2007.3.28)


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