がんにもなる痔ろう 膿などの症状がでたら早めに病院へ

前回説明したとおり、細菌の感染によって直腸や肛門(こうもん)が化膿(のう)することを、肛門周囲膿瘍(のうよう)といいます。この状態のまま放置しておくと、直腸肛門に結ぶ膿の管が形成され、痔ろうになってしまいます。

ちょうど火山活動に似ていて、肛門周囲膿瘍が噴火で、噴出するマグマが膿、噴火後に残される空洞やトンネルが痔ろうといったところ。たびたび小噴火を繰り返しては、新しい噴火口やトンネルを形成します。いったん膿が出つくして、痛みが治まった時には、また1つ新たな管ができたと思ってください。こうした痔ろうは、手術しなければ治りません。

痔ろうの手術は、膿の管を入口から出口まで切開し開放する「切開開放術」が基本となります。術後は下から肉が盛り上がり、自然に治るのを待ちます。ですが、この方法だと膿の管の通り方や、管の位置によっては括約(かつやく)筋を大きく傷つけてしまうことがあります。括約筋の損傷が激しくなると、肛門の締まりが悪くなって便が漏れたり、まれに肛門が変形することもあります。そこで、最近では肛門括約筋を傷つけないようにする、「括約筋温存術」が選択されます。膿の管が複雑な通り方をしていたり、患部が体の奥深くにある場合のほか、浅い場所にある単純な痔ろうでも、管が肛門の側方(体の側面)や前方(腹側)を走っている場合は、この方法が選択されます。入院期間は、複雑なタイプのものを除いて、だいたい2週間程度になります。

痔ろうは、10年以上放置すると、まれに「ガン化」することもあります。「発熱を伴う肛門の腫(は)れや痛み、膿で下着が汚れる」などの症状があったら、早めに専門医を受診し、適切な処置を受けてください。


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